産学連携?地域共創
Industry liaison and community building
参加学生レポート「東広島アグリデザインプロジェクト」(2021年度~2023年度)
今回は、2021年度から継続して実施している「東広島アグリデザインプロジェクト」参加学生のレポートから一部抜粋してご紹介します。「東広島アグリデザインプロジェクト」は、産地での収穫?加工?販売体験を通して、デザインがどう機能できるか探り、その有効性を検証?確認することをねらいとしたプロジェクトです。2021年度はねぎベーゼ、2022年度以降はブルーベリージャムを企画し、パッケージデザインや売り場づくりに取り組みました。東広島市豊栄で収穫?加工した商品を現地の農場や道の駅で販売する試みは、地元農産物の魅力を伝えるきっかけにもなっています。
【 2021年度?】
【Dさん】 販売の際には、ターゲットに届くデザインの重要性を実感しました 。子供の目には止まったものの、保護者の心を動かすことが難しかったです。可愛いだけじゃない商品自体の魅力を伝える力が足りなかったと感じました。逆に、100体のキャラクターがお客さんとの会話のきっかけになったことは良かった点だったと感じました。キャラクターを導入に使う事ができ、購入にも繋がりました。販促物をふくめたパッケージデザインを行うことなど世界観作りの重要性も感じました。
【Iさん】 販売場所の「トムミルクファーム」は休日の家族連れ層が多いためキャラクターのテーマを「家族」にし、家族連れをターゲットにすることにしました。
どんなにデザインがよくてもお客さんは牧場を目当てにこられている方ばかりであるので、宣伝方法に苦労しました。試食販売を行ったことで興味をひけたものの、試食以外でのアピールがうまくいかなかったことは反省点です。しかし制作していたリーフレットは試食販売中のお客さんへの説明にとても役に立ち、良かった点でした。お客さんはねぎベーゼの実際の活用方法が一番気になっていたようなので、そのことをリーフレットに記載していたことが功を奏しました。
【Uさん】 実際にデザインするものの作業工程や、食べてみたときの味など自分たちの肌で感じたことをデザインに組み込むと、初めてねぎベーゼを見た人にもどのような商品なのかが伝わりやすくなると感じました。
今回の課題を通して、商品を販売する際に最も重要なのはその商品の品質であるけれども、そこにデザインの力が加わることでさらに手に取ってもらいやすく、興味を惹きつけるものになるということがわかりました。
【Sさん】 私のチームは「Farmily」という農場からの新鮮な食品を家庭の食卓に届けることをモットーにしたブランドを立ち上げ、私はラベルやショッパーなどの設計を主に担当しました。ねぎベーゼの魅力を引き出すためのデザインであることを重きに、商品を見つける楽しさや手に取る楽しさ、持ち帰って開封するときの楽しさを味わってもらえるような設計にし、開けた後も残しておきたくなるようなデザインにしています。
パッケージデザインが及ぼす商品の販売促進への影響に興味がありこの専攻を志望しているので、今回の制作は私個人にとってはとても貴重な経験になりました。
【 2022年度?】
【Nさん】 グループ制作では、個々の意見を尊重しながらそれぞれに仕事を振り分けたり、デザインのテイストを合わせていったりするところがとても難しかったですが、楽しく制作に取り組んだ結果良いものが完成したので、とてもやり甲斐のある課題でした。他のグループたちとのテイストの違いも見比べてみるのがとても楽しかったです。
【Fさん】 一次産業から三次産業に至る過程を自らの手で実感することができた。また、人と人とのつながりを身をもって実感できた。
デザイナーとして広告やプロモーション等を行っていくにあたって、そのものを作る身になることで「この良さを伝えたい」という視点が見えてくる。物事の本質を見るために多くの視点を持ち合わせることの重要性や「周りにあるもの」まで目を配りデザインをしていきたいと考えさせられる課題であった。
【Kさん】 私のBチームでは、ブルーベリージャムそのものというよりもパッケージに価値をつけて、すべて違うデザインにして選んで楽しんでもらうことを目標に取り組んだ。その結果、無事たくさんの人に一つ一つの商品をじっくり見てもらえて、立ち止まりも多く、デザインが計画していた通りの効果を為していた。
売上はデザイン次第で大きく変わるということが分かり、自分自身のこれからの課題に繋げていこうと思った。
【Sさん】 消費者の需要と商品の強みが一致しなくても売らなければならない状況は、仕事をする上では避けられないこともある。そんな中でどのように付加価値を生み、それをどう伝えるのかがデザイナーの腕の見せ所である。デザイナーに求められるものとブランディングを行う意味を改めて考えることができた。
- 【 2023年度?】
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【Sさん】 私がいつも作品を見てもらう先生方や同級生は元から私が作ったものに対してある程度の興味があるのに対して、今回行った実習では元は商品に興味のない方達に興味を持ってもらうところから始めなければいけなかったので非常に苦戦しました。また、商品が配置される場所や並べ方も、お客様には伝わり切っていない部分や、コミュニケーション力を多く要求される部分があり受け身のままではいけないと思いました。
【Tさん】 グループワークの面白さをたくさん感じることができて、自分がふと思いついたけれども、まだ固まってないアイデアを投げたら、他のみんなから、そのアイデアがある程度固まって返ってきたことが何回かあって、1人で悩むよりも人と一緒に考えることがどんなに大切なのか分かった気がしました。
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- 【Eさん】 今回の実習を通して、現地に来る人の年齢層や場所の雰囲気、その日の状態などを事前に調査することの重要性を学びました。また、売るときの声掛けやコミュニケーションも重要で、質問された時に完璧に答えられるリサーチ力と、威圧感は与えずにきちんとアピールすること、自分たちの思いを正確に簡潔に答えられることが必要だと学びました。
今回初めて自分たちのデザインへのリアルな反応を見られたので、これから先の作品作りにおいても、作品の受け取り手をイメージしやすくなったと思います。
- 【Eさん】 今回の実習を通して、現地に来る人の年齢層や場所の雰囲気、その日の状態などを事前に調査することの重要性を学びました。また、売るときの声掛けやコミュニケーションも重要で、質問された時に完璧に答えられるリサーチ力と、威圧感は与えずにきちんとアピールすること、自分たちの思いを正確に簡潔に答えられることが必要だと学びました。
アグリデザインプロジェクトの取組み デザインは社会の課題に対して、どのような手法や表現で解決していけるかということがその使命だと考えています。机上の考査や学内の評価だけではなく実践的な体験を通して学んで欲しいという思いでこのカリキュラムを準備しました。まさに臨床医学ならぬ臨床デザインです。学生が商品化した地域産品を実社会に出すためには、衛生管理、食品表示法の遵守、原価計算等、厳しいルールを学ぶ工程も踏んでいます。自らが収穫?加工し、ニーズを研究したデザインを販売するという体験実習は、おかげさまで評価も高く、志望動機にあげる高校生が毎年います。来年度も本プロジェクトを引き続き展開する予定です。 【プロジェクト担当教員(代表) 納島正弘】 |
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