国際交流?留学 International exchange and study abroad

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派遣留学の体験記 (ドイツ?ハノーバー専科大学) 


国際学部 国際学科 4年  上藤 響さん

?ドイツ?ハノーバー専科大学
[2023年2月 ‐2023年8月]

● 留学先大学の特徴とアピールポイント
 自分はセメスター中の授業は取らないと出国前から決めていたのですが、留学先大学の職員の方はそれを許容してくれ、問題が起こった際にはとても親身になって手助けしてくれたのはとても心強かったです。ハノーバーはドイツでも大きな都市の一つで、必要な都市機能がコンパクトにまとまっており、生活するには非常に快適でした。緑に溢れており、何もない遊歩道を歩いてリラックスする時間は、心をニュートラルにする上でとても好きな時間でした。ただ、他の都市に住んでいる友人に「何もすることがなさそう(笑)」と指摘されたことがあり、自分自身もその側面を感じることはありましたが、また戻りたいと思える魅力ある街だと思います。
 また、ハノーバーにはHannover96という大きなサッカーチームがあり、近年はブンデスリーガ(ドイツサッカーリーグ)2部に所属していますが、その人気はいまだ凄まじく、地域と人々がともに作り上げてきたクラブとしての歴史を街の至るところで感じ取ることができます。街からこのチームを抜いたらどうなってしまうのだろうと思うほどに、サッカーが、Hannover96が人々の心に溶け込んでいる雰囲気に魅せられていました。そんなクラブで働けたことを心から誇りに思うとともに、また必ず戻りたいと思います。

〈Fucullty Vのキャンパス〉中心街から電車で15分ほど

〈メインキャンパス近くの遊歩道〉


● 留学を振り返って、留学で得たものと今後の目標は何ですか?
 留学中の一番大きな経験は、間違いなくHannover96で通訳として働かせてもらったことだと思います。人脈も情報も何もないまま、サッカー指導者の勉強をするためにドイツに飛び込みましたが、ドイツ語を全く話せなかった最初は何をどうすればいいか全くわからず、理想と現実の大きな差に苦しみました。あまりの苦しさにやめてしまいたいと思うことも多々ありましたが、気持ちを強く持ち、やるべきことをやり続けました。もともと勉強したかったHannover96のアカデミーは基本的に練習が非公開だったので、1カ月ほどゲートキーパーのおじいちゃんを口説いたり、数カ月間練習場に通い続けてフェンスの外から勝手に練習を見学していたところ、不断の準備が実を結び、Hannover96で通訳の仕事を得ることができました。運がよかったのは間違いないのですが、チャンスが転がってくることを信じ続け、それが自分の元にやってきたときには絶対につかみ取ってやろうとコツコツ積み重ねた結果だったと思います。ただ、シーズンがこれからというタイミングで帰国しなくてはならなかったことは本当に悔しかったです。それでも、この結果を招いたのは全て自分自身なので、留学が終わったその日からこの経験をただの”経験”で終わらせないことだけを見据えています。留学前の自分ではこの考えにならなかったと思いますが、留学中に”自分自身”を見つめ続けた結果、失敗したときや物事が思い通りにならなかったときにはその要因をまず自分自身に向けることができるようになりました。
 今後の目標ですが、留学中に縁が重なって始めた事業を軌道に乗せ、できるだけ早くドイツに戻って指導者としての勉強を再開し、最終的にはブンデスリーガのコーチになることが自分が思い描く大きな夢です。これからも多くの困難が待ち構えていると思いますが、この留学で学んだことを糧に自分の人生を切り開いていきます。

〈授業風景〉ベルギーでのシンポジウム

〈Hannover96で通訳を担当していた選手と〉

● これから留学を希望する後輩へのメッセージ
 留学についての良い面はいくらでも知るチャンスはあると思うので、振り返ったときの反省を少しでも伝えられればと思います。
 留学前の自分が抱えていた最も大きな問題の一つは、環境が自分を変えてくれると思い込んでいたことです。ただ、環境は”きっかけ”でしかなく、自分が変わるために必要なのはいつ何時も”自分自身”です。自分も含めて多くの方がそうだと思うのですが、留学というものを美化しすぎている面は少なからずあると思います。いろいろな国に旅行に行って、友達とパーティーに行って、言語がペラペラになって、、、ただ、自分がそうであったようにそれが初めての留学であるならば、待ち受ける現実が過酷でつらいものであることも覚悟しておかなければならないと思います。自分の場合はそこができていなかったので、留学前の準備がおろそかになり、ドイツに着いてから1、2カ月は十分に活動することができませんでした。母語でない言語で強いられるたくさんの手続きも、日本では考えられないハプニングも、慣れない環境へのストレスも、言語も、文化も、食事も、良い面以上に悪い面に目を向けてあげることで良い準備が整うと思います。
 留学は留学に行くと決めた瞬間から始まっていると思います。準備の段階でその留学がどのようなものになるのかが決まると認識し、これから留学に行く方たちには、日本にいるときからできうる限り最大限の準備をして悔いのない素晴らしい留学を作り上げてほしいと思います。

〈友人と再会〉本学留学時にバディをしていたベルリンの友人


● 最後に
 ヨーロッパの至る所でさまざまな人とのご縁に恵まれ、たくさんのご恩を頂きました。その奇跡のような出会いの一つ一つが今の自分を形作ってくれています。人生で初めて社会的にマイノリティになったことで、日本にいたときには当たり前だった人との出会いがどれほど貴重で、はかなく、そしてどれほどそれに助けられていたのかを認識する契機になりました。最後に、自分はとてもルーズな性格なので、両親や大学の職員の方をはじめ、多くの人に迷惑をかけましたが、それでもこの留学が素晴らしいものになったのは紛れもなく支えてくださった皆さまのおかげです。心から感謝するとともに、この恩を返していけるよう精一杯生きていきます。

〈Hannover96のチームメイト〉初めてのリーグ戦




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